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2005年9月11日 (日)

マスコミ報道と選挙結果

衆議院議員選挙の投票箱が閉まった瞬間、各テレビ局の選挙報道特番は出口調査による議席予想を一斉に映し出しました。その結果に慄然。各局とも自民党300以上、民主党100そこそこ、両党大きく明暗を分けた予想数字が示されました。事前の報道で自民党優勢が伝えられていましたが、まさかここまで大差が開くとは正直考えていませんでした。

今回の総選挙戦は「ワイドショー」「劇場」型などと呼ばれ、かつてない関心を高めました。事前の盛り上がりはそのまま投票率をアップさせることができたようです。ただ残念ながら政策や候補者の人物評価より、「刺客」や畑違いの有名人の出馬などの面で注目度が高まった気がします。それでも投票率が高まった中で示された民意は否が応でも粛々と受けとめざるを得ません。小泉自民党が圧倒的な力を持った政権となりますが、とにかく公務のあり方を短絡的に否定していく流れや「勝ち組」「負け組」の格差拡大などの問題に対し、ひるまず立ち向かっていかなければなりません。

負け犬の遠吠えとなりますが、今年7月に行なわれた都議会議員選挙まで自民党と民主党が拮抗していたことは確かです。なぜ、それがわずか2か月で自民党へ強烈なフォローの風が吹くようになったのでしょうか。今後、選挙戦の総括は各党が深く掘り下げるものと思いますが、マスコミ報道のあり方について個人的に考えてみます。マスコミは選挙戦に対して「中立」を装います。確かに自民党の「刺客」候補などを取り上げた場合、必ず選挙区の候補者全員を紹介していました。ただし扱いは当然、注目候補者と比べれば取って付けたようなものでした。 

そもそも参議院で郵政民営化法案が否決されたにもかかわらず、総理大臣の権力を濫用して衆議院を解散した身勝手さ。自分が最高責任者である党内をまとめられなかったにもかかわらず、770億円もの税金を使う総選挙を郵政民営化法案の国民投票などと決めつける傲慢さ。長い間の仲間だったにもかかわらず、一つの法案を反対しただけで政治的に抹殺しようとする冷酷さ。明らかに問題が数多くあった小泉首相の一連の行動に対し、正面から批判しなかったマスコミは決して「中立」だったとは思えません。国民にわかりやすく問題点を提起すべき責任と役割を放棄し、加えて「小泉劇場」を面白おかしく演出し、結果として小泉自民党を応援していたようなものです。

投票日の直前、郵政民営化法案に反対した自民党の参議院議員が「民意を踏まえるならば次は賛成」との動きを報道した際、強権的なやり方で信念を曲げさせていく今の自民党の恐ろしさを取り上げることはありませんでした。それどころか考え方を変えていく議員の姿勢の方をあざ笑うコメンテーターの言葉には唖然としました。政治評論家の森田実さんが「この総選挙で小泉首相を勝利させるため、アメリカ経済界は郵政民営化のため5千億円の広告費を投入した」と書いていましたが、かなり信憑性の高い話かも知れません。

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