自治労は悪役?
最近、小泉首相の見事な手法に感化されているのか、「正義の味方」と「悪役」にスパッと分けることが流行り始めています。総選挙戦では自民党から誹謗中傷と言いたくなるほどの執拗な攻撃が、みなし公務員である郵政公社職員も含めて公務員全体にかけられました。公務員の役割や責任をまったく無視し、「公務員に任せていると非効率である」「たいした仕事をしなくて高い給料をもらっている」などと決めつけられていました。
その公務員の既得権だけを一生懸命守ろうとしているのが官公労の組合であり、自治労などは完全に悪の権化のようにみなされていました。選挙期間中、もっと民主党から毅然と反論してほしかったのですが、最後まで小泉自民党のペースで押し切られてしまったようです。どうも民主党議員の中でも自民党と似た考えを持った方が多かったようで、新しく代表に選出されたのが前原さんだということが象徴的です。
前原代表は官公労、とりわけ自治労を悪役とみなし、その「しがらみ」を断つことにより国民からの支持を高めようとしているように見えます。それでは小泉首相の手法の二番煎じではないでしょうか。綿貫さんや亀井さんたちが決して特定郵便局のためだけで郵政民営化に反対した訳ではないものと思います。しかし、小泉首相の策略により、いつのまにか改革を止める悪役のレッテルを貼られ、自民党から追放されてしまいました。ぜひ、前原代表は小泉首相と同じ手法を取ることなく、味方である団体を簡単に悪役へと追い込むことはしないでください。
右側のサイドバーから自治労のホームページへリンクできます。自治労は社会全体で働く者が豊かになるよう職場や地域で努力し、今までも非常勤職員や公共民間サービス労働者の方々を組織化してきました。また、来年1月には地場中小労働運動の中心を担ってきた全国一般労働組合と組織統合することも決めています。決して公務員だけの利益を守ろうとしている組合ではありません。
確かに政党と労働組合は、お互いの立場や役割を尊重したメリハリある関係が求められています。労働組合が政党の意思を左右するような圧力団体になってしまっては問題です。しかし、支援は受けても今後、一切自治労からの要望は受け入れないという立場は極端すぎます。公務員に限らない100万人の働く者の声を聞けるパイプを持ち続けることは、民主党にとっても大きなメリットではないでしょうか。
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コメント
「労組を切り捨てることは、労働者全体を切り捨てることと同じことなんですよ、なんでみんなそれがわからないんですか!」と当方もワンフレーズで怒ってます。
公務員の労働条件を切り下げて、正社員非正規社員を問わずに地域の労働者の労働条件がよくなるというのならまだいいが、むしろそういう政策ではない。逆に地域の賃金相場を押し下げて、労働者全体の利益を損なうというのが実際だと思います。
本質的に財界寄りの保守政党である民主党に労働者保護政策を期待するには限界があるけど・・地域の労働運動・市民運動と連帯してやっていくしかないんかなと思っています。
私もはじめましたが、ブログは有効な手段だと思います。ともにがんばりましょう。
投稿: hammer69_85 | 2005年9月20日 (火) 01時45分
トラックバックありがとうございます。
組合員の労働環境を改善する他にも、地域社会など非組合員である第三者のために努力するのは、自治労が国民から理解を得るうえで有効でしょう。
ただし、ここで重要なのは、社会の中に自治労があり、非組合員である第三者を常に意識して活動することです。自治労の活動が世間の目に触れ耳に入るように努め、外部からのフィードバックも活動に反映させていくべきです。
そのために欠かせないのは、情報発信です。例えば、アマゾンで「自治労」を検索すると6件、「自民党」では131件です。『原発事故から身を守る―防災・自治・くらし』や『住民参加のまちづくり―自治体労働者の地域活性化』の出版は良い試みだと思いますが、80年代に出版されてそれきりになっています。
また、出版に限らず第三者を通じた自治労に関する情報発信を増やす工夫も必要です。びんごばんごが労組一般に肯定的なイメージを持っているのは、アーヴィン・ウェルシュ(イギリスの作家)やマイケル・ムーア(米国の映画監督)の影響です。こういう第三者からの情報発信を通じて国民の間に醸成されるイメージは大きな影響力があります。
外に向けて開かれた自治労であることに努めるとともに、首相官邸側との情報戦を戦い抜くという認識があれば、元来人数の多い巨大組織なので、日本の社会をより良くしていくうえで自治労が大きな力を発揮できると期待しています。
投稿: びんごばんご | 2005年10月 9日 (日) 19時25分