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2005年8月18日 (木)

地域給導入とマイナス人勧

公務員は争議権など労働基本権が制約されています。その代償措置として、人事院や都道府県の人事委員会があり、民間賃金水準との均衡をはかるべく勧告を年に1回示しています。今年の国家公務員に対する人事院勧告は8月15日に行われ、月給を平均1,389円(0.36%)引き下げ、ボーナスを0.05か月分上げて年間4.45か月分とする内容です。月給は2年ぶりのマイナス勧告で、平均年収は前年より平均4,000円下がることになります。

まだまだ景気が上向かない中、民間の賃金相場を反映したマイナス勧告はやむを得ないものです。ただ今回の勧告の中に多くの公務員組合の反対を押し切り、新たに地域給の導入が盛り込まれました。基本給を一律に5%ほど切り下げ、既存の調整手当を廃止し、その財源で3~18%の地域手当を新設するというものです。最高18%の支給地域は東京23区のみで、23区がかろうじて現行賃金水準を維持し、その他の地域は軒並み減収となる見込みです。さらに基本給の切り下げは、退職手当や年金にも直接響く公務員にとって手痛い改悪となります。

本来、中立の立場で勧告すべき人事院が公務員の人件費削減を求める政府の圧力を意識し、地域別の官民比較の導入という従来のルールを一方的に変えた結果と見られています。また、市町村別に細かく地域手当の率を示しているため、15%支給地域に住んでいるのに10%地域の隣の市に勤務していると同じ仕事をしていて5%も賃金格差が生じる不合理さが出てきます。地方公務員へ直結する勧告ではありませんが、今後、大きく影響を受けていくことは避けられません。

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