トップページ | 2005年9月 »

2005年8月31日 (水)

なぜ、労使対等なのか?

@niftyの会員でもあり、このプログはココログ無料コースのベーシックで始めました。あまり使いこなせないうちはベーシックで充分と思っていましたが、やはりどのくらいアクセスがあるのか気になり、2日前から有料コースのプラスへ変更しました。始めた日からのアクセス件数がわかるものと信じて楽しみにしていましたが、切替え直後のアクセス累計はゼロ。つまりコースを変更した以降の数字しか、わからないことを知って少々ガッカリしました。ちなみに2日間でのアクセスは150件を超えています。自分の思っていた以上の数字で、ますますブログへはまりつつあります。

さて、いろいろ組合役員の視点からの文章が多く、「公務員のためいき」ではなく「組合役員のためいき」とタイトルを改めたらどうかとの突っ込みが入りそうな気配です。と言いながらも今回は労使関係について取り上げることにしました。かなり昔、授業で使った有斐閣選書の「労働法を学ぶ」を引っ張り出し、必要な頁をおさらいしてみました。

産業革命を経て工場制生産制度が確立すると使用者は多数の労働者を同時に雇用することになりました。使用者は経済的に優位な立場ですので企業にとって都合の良い条件を示し、労働者は受諾するか拒否するかの単純な形での労働契約を強いられました。そのため、低賃金と長時間労働の悲惨な労働者階級が出現することとなりました。

やがて忍耐の限度を超えた労働者は、一揆的な暴動やストライキに立ち上がり、団結することによって初めて使用者と対等な立場で話し合えることを知っていきました。使用者側も不正常な争議状態が続くより、労働者側の要求を受け入れ、しっかり働いてもらった方が得策だと考えるようになりました。また、国家としても国民の多数を占める労働者が豊かにならなければ、社会や経済の健全な発展ができないことに気付きました。

それら歴史的な経緯の中で、団結権など様々な労働法制が整備されてきました。したがって現在、労働条件に関する事項の変更は労使合意が前提だったり、労使関係では労使対等であるなどの原則が法的な面から確立しています。市役所職員にとっての使用者は市長です。例えば団体交渉の場で、組合役員と市長らとの力関係を対等なものに位置付けないとフェアな労使協議となりません。切実な組合員の声を背にした要求を実現するためには、市長側と真っ向から対立する意見も毅然とぶつける必要があります。その意味で労使対等の原則は非常に重要ですが、労使関係を離れた場面での組合役員側の常識的なメリハリも大切にすべきものと考えています。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2005年8月30日 (火)

政権選択の総選挙戦公示

衆議院議員選挙が今日公示されました。投票日の9月11日まで12日間にわたる激しい選挙戦が繰り広げられます。昔からの持論だった郵政民営化へ異常な執念を持った小泉首相の身勝手な解散により、おだやかな夏休みが吹き飛び、日本中が振り回されている気がします。民営化法案に反対した自民党の候補者を公認しないどころか話題性あふれる女性候補を「刺客」として送り込んだり、強面の外見で損をしている綿貫・亀井「国民新党」、石原都知事より出勤日数が少ない田中知事(長野県庁職員からの伝聞)の「新党日本」、毎度お騒がせのホリエモンの出馬など、ここまでは「劇場型」選挙と呼ばれ、かつてない盛り上がりを見せています。

私ども市役所職員の組合は公示日の昼休み時間、各職場の代表(職場委員)による機関会議を開きました。いろいろな職場課題とともに総選挙闘争(組合は何でも闘争と称することが得意です)方針案が議題とされていました。自治労連合の方針を受けとめ、民主党の候補者を中心とした選挙区ごとの推薦候補者の提案です。委員長挨拶や書記長の提案説明で「なぜ、民主党を応援するのか」の背景や理由が示されましたが、やはり何人かの職場委員から「国家公務員の総人件費2割削減をマニフェストとした民主党を支持するのは問題ではないか」などの意見が出されました。改めて組合執行部側の説明が加えられ、現時点のベターな選択肢とした民主党基軸の総選挙闘争方針案が承認されました。

この「公務員のためいき」の中で、民主党を応援した方がベターだという点について何回か取り上げてきました。多様な意見を押しつぶしていく強権的な体質を隠さない小泉自民党の危なさ、「官から民へ」と声高に叫びながら公務員が多いから財政を圧迫しているとした短絡的一方的に決めつける今の内閣と与党、公務員組合と交渉する必要はないと繰り返す武部幹事長を象徴とする組合軽視と敵視の姿勢など、小泉自民党には絶対勝たせたくないと考える理由は数え切れません。

それでは、なぜ、民主党なのかの理由として、まず政権選択の選挙戦であることを押さえなくてはなりません。少数野党の大切さも全面否定できませんが、一方を勝たせたくないと考えるならばベターな選択肢として民主党を選ぶことになります。当然、政権をめざしている民主党は労働組合だけの代表ではありませんので、公務員組合にとって耳の痛い政策も掲げられてしまいます。また、N村前議員など自民党以上にある意味で幅広い議員がいることも不安材料の一つにあげられています。

しかし、確信できることは民主党が誕生してから現在まで、連合を中心とした労働組合と民主党とは堅い信頼関係がある点です。今回のマニフェストに関しても、実現していく過程において労働組合に関係する内容は充分話し合っていくことが約束されていると聞いています。自治労を名指しで敵視する今の自民党政権を継続させるのか、太いパイプを持った信頼関係がある民主党に政権を奪取してもらうのか、答えは明らかだと考えています。

| | コメント (1) | トラックバック (4)

時間内組合活動について

鹿児島の自治労大会から戻り、久しぶりの出勤でした。ある程度、月の中でスケジュールが調整できる仕事(要するにためておいて集中的にできるもの)も多いのですが、毎日郵便が届くごとにたまっていく仕事も半端ではありません。官公庁からの住所や戸籍などの照会ですが、多い日だと取扱いが100件を超える場合もあります。お土産を片手に職場へ顔を出し、早々にたまった封筒の束を見ると半分以上が処理済みでした。これから当分の間、たまった郵送の処理を覚悟していましたので、改めて職場の皆さんへ感謝、ありがとうございました。

ところで公務員バッシングの一つに時間内組合活動の問題があります。公務員に限らず民間の組合も含めて、団体交渉やそれに準ずる行為について勤務時間内での一定の活動が認められているはずです。公務員だから一切の時間内活動が駄目だと言われてしまうと様々な労働法制の根幹にかかわる問題です。当然、その時間内活動の度合いは肝心であり、本来の職務と組合活動が「主客逆転」としないような姿勢に努めなければなりません。

組合との関わりを本務の一部としている人事担当者とは必然的に勤務時間内での打ち合わせや協議が多くなります。組合事務所に常駐している書記局職員との業務の調整、場合によっては組合員への連絡も勤務時間中でないとスムースにいきません。したがって、自分だけの段取りで進められる組合業務は、なるべく早朝や昼休み時間などを有効活用しています。そのため、行列ができがちな昼の食堂へは正午のチャイムとともに向かわせてもらっています。サーッと仕事を区切れない窓口業務の方たちには「申し訳ないな」と思いながらも足早に食堂へと急ぐ自分でした。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2005年8月27日 (土)

熱い討議で自治労方針確立

kagoshima九州は台風の影響を直接受けず、暑さも東京に比べてそれほどでもなく過ごせました。しかし、自治労大会が開かれた鹿児島アリーナの会場内は非常に熱く、怒号に包まれた討議が交わされました。

地域給導入や全国一般労働組合との産別統合の問題など、自治労本部の進め方に対する批判意見がいくつかの県本部から出されました。しかし、最大の争点となったのは憲法9条をめぐる自治労のスタンスの問題でした。この問題で4県本部から修正案が出され、さらに数多くの代議員から本部の姿勢をただす意見が質疑討論の時間に示されました。要するに「連合は自衛隊を容認しているようだが、自治労もそうなるのか。自衛隊は違憲とした方針を転換するのか」というのが批判する意見の主なポイントでした。

この問題が大きな対立点となっているため、人見本部委員長の冒頭挨拶から草野連合事務局長や仙石民主党政調会長ら来賓の皆さんへも野次が飛び、決して行儀の良い大会ではありませんでした。それでも本部が再三答弁した「自衛隊を違憲とする自治労のスタンスは変わらず、その立場で連合内でも発言していく」という基本的な考え方を受けとめ、修正案は取り下げられました。最終的には圧倒多数で本部原案が可決され、今後、2年間の自治労方針が確立しました。

やはり公務員や自治労をとりまく情勢が厳しい中、対立点を激しく議論しても最後は一致団結しなければという各県本部の賢明な判断が働いたものと思います。加えて、委員長選挙に対立候補が出て、一時は新委員長の選出をめぐっても大きく自治労内が割れる事態が生じていました。しかし、再選をめざしていた人見委員長の決断により、禍根を残しかねない選挙戦を避け、自治労全体がまとまり副委員長だった岡部さんを新委員長として選出することができました。いろいろな意味で印象深い大会となりました。今後、「雨が降り、地が固まった転機の大会だった」と言えるよう確立した自治労方針を実践する努力が求められています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年8月21日 (日)

鹿児島で自治労大会

8月23日から26日にかけて、鹿児島市で開かれる自治労第76回定期大会へ参加するため、一週間出張します。自治労とは自治体職員や公共サービスに関わる組合が集まった日本最大の産業別組合です。地方行革が進む中、自治体職員の人数は毎年減っていますが、非常勤職員や自治体関連の民間労働者の皆さんを迎えることにより約100万人の組織規模を維持させています。

大会と言ってもスポーツなど何か競技する場ではなく、活動方針などを協議する大きな会議のことです。それでも全国の都道府県の代表が1万人近く集まるため、鹿児島アリーナを会場として4日間熱い激論が交わされるものと思います。

激しい公務員バッシングや強まる「官から民へ」の動きに対し、さらに「勝ち組」「負け組」の二極化が進むことに対し、今まで以上に自治労の存在意義や明確な対抗軸をアピールすることが求められています。一方で今後の改憲論議に臨むスタンスに関する議論も過熱する見込みです。平和憲法がどうなるのか非常に難しい局面を迎え、避けて通れない議論だと思います。ただ公務員をとりまく情勢の厳しさも半端ではありませんので、いたずらに対立点を際立たせ、いわゆる団結にヒビが入らないようにすべきものと願っています。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2005年8月20日 (土)

前衆議院議員の市民集会

ある民主党前衆議院議員の市民総決起集会へ参加してきました。土曜日の夕方にホテルを会場に開かれ、立ち見が出るほど多くの参加者(千人近く?)が集まった熱気あふれるものでした。有名な女性ジャーナリストの講演があり、民主党のシャドーキャビネットで重要ポストを務める千葉を選挙区にした先輩も応援に駆けつけました。二人から前議員の働きぶりや将来嘱望されている人材であることが強く訴えられ、前議員本人の決意表明も歯切れ良くわかりやすいものでした。

ただ公務員の立場から気になることが一点だけありました。民主党が政権を取ったならば徹底的に無駄を省き、3年間で10兆円の歳出削減をはかるというマニフェストに絡んだ先輩前議員の話の中に出てきた例示に関してです。膨大な赤字国債を抱える財政の再建のために徹底的な歳出削減は当然必要だと思います。しかし、先輩前議員の話の中で出された社会保険大学(社会保険庁職員向けの宿泊施設付研修所)にあるゴルフ練習場の例が少しだけ気になりました。長期間、泊り込みで研修を受ける職員の元気回復や健康増進を目的に設置した小規模なものとはいえ、確かにゴルフ練習場は非常識だったかも知れません。それでも道路公団の橋梁談合などと同じレベルで「徹底的」にと強調されると「またか」とためいきが出てきます。小さい無駄も見逃さないという姿勢は否定できるものではありませんが、公務員の福利厚生や労働条件すべてを否定するような「徹底的」は疑問を投げかけたいと思っています。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2005年8月19日 (金)

公務員は「勝ち組」?

「勝ち組」と「負け組」という言葉を最近よく耳にします。小泉政権の痛みを伴う構造改革路線は不良債権処理を強く推し進め、中小零細企業の倒産や数多くの失業者を産み出しました。メガバンクや大企業の延命には力を貸し、国民の負担は重くしていく弱者切り捨ての政策が続いています。

景気は上向き始めたと言いますが、国民にその実感はありません。超優良企業と何億も税金を納められる成功者、一方で年収300万円未満で暮らさざるを得ない者との枝分かれが加速しています。圧倒多数の国民が「負け組」になっても、国そのものが強くなれば良いという政府の考え方がうかがえます。どうもごく一部の「勝ち組」が国を支配するアメリカ的な姿に近づいているようです。

当然、公務員は「勝ち組」ではありません。ただ多くの国民が厳しい生活に追い込まれたため、いつのまにか平均より上に押し出されてしまったようです。バブル経済を起こした責任、弾けた後、有効な政策を打ち出せなかった責任は歴代の政権と国にあることは明らかです。激しさを増す公務員バッシングは、その責任をあいまいにし、国民の怒りの矛先を自分たちからかわす巧妙な仕掛けだと思ってしまいます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年8月18日 (木)

地域給導入とマイナス人勧

公務員は争議権など労働基本権が制約されています。その代償措置として、人事院や都道府県の人事委員会があり、民間賃金水準との均衡をはかるべく勧告を年に1回示しています。今年の国家公務員に対する人事院勧告は8月15日に行われ、月給を平均1,389円(0.36%)引き下げ、ボーナスを0.05か月分上げて年間4.45か月分とする内容です。月給は2年ぶりのマイナス勧告で、平均年収は前年より平均4,000円下がることになります。

まだまだ景気が上向かない中、民間の賃金相場を反映したマイナス勧告はやむを得ないものです。ただ今回の勧告の中に多くの公務員組合の反対を押し切り、新たに地域給の導入が盛り込まれました。基本給を一律に5%ほど切り下げ、既存の調整手当を廃止し、その財源で3~18%の地域手当を新設するというものです。最高18%の支給地域は東京23区のみで、23区がかろうじて現行賃金水準を維持し、その他の地域は軒並み減収となる見込みです。さらに基本給の切り下げは、退職手当や年金にも直接響く公務員にとって手痛い改悪となります。

本来、中立の立場で勧告すべき人事院が公務員の人件費削減を求める政府の圧力を意識し、地域別の官民比較の導入という従来のルールを一方的に変えた結果と見られています。また、市町村別に細かく地域手当の率を示しているため、15%支給地域に住んでいるのに10%地域の隣の市に勤務していると同じ仕事をしていて5%も賃金格差が生じる不合理さが出てきます。地方公務員へ直結する勧告ではありませんが、今後、大きく影響を受けていくことは避けられません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年8月17日 (水)

公務員の福利厚生

大阪市のスーツ支給問題などが注目を集め、公務員は恵まれすぎているとバッシングが全国的に高まっています。ヤミ時間外勤務手当の支給など行きすぎた面は、早急に是正すべきものと考えます。ただ非常に頭が痛いのは、福利厚生予算への公費支出を全面的に否定するような動きには「ちょっと待って」と言いたくなります。

地方公務員法で「地方公共団体は職員への福利厚生を実施しなければならない」と定められています。職員間の会費だけで自分たちの福利厚生をすべて賄うのならば、その法律の趣旨に反してしまいます。ほとんどの民間会社でも会社から経費の一部が社員への福利厚生に充てらているはずです。それが公務員の場合、税金の一部が充てられる構図となるため、一円も駄目だと言われては困ってしまいます。

一方でバブル経済がはじけてから続いている息苦しい不況により、リストラや倒産で苦しむ人たちが数多くいることは忘れてはなりません。したがって、その不景気な時代を踏まえ、常識的な範囲内での福利厚生予算でなければ確かに市民の皆さんから理解が得られないものと思います。当然、仮に度がすぎているようならば、ただちに見直さなければいけないものと考えています。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

民主党と小泉自民党

小泉首相の異常なこだわりを持った郵政民営化法案が参議院で否決されたことにより、衆議院が解散し、9月11日が総選挙の投開票日となりました。もともと郵政民営化に対する国民の関心は低く、2年以上任期を残した衆議院の解散は約770億円もの税金の莫大な浪費、数々の法案の廃案、国政の停滞などを招く自分勝手な愚かな行為だったと思います。しかし、不思議なことに各種世論調査では小泉内閣の支持率が軒並み上昇しています。首相得意の単刀直入なパフォーマンスで、民営化反対派を「悪者」に仕立てあげることができたことが功を奏しているようです。

小泉首相に押され放しの民主党は年内の自衛隊のイラク撤退などを盛り込んだマニフェストを発表し、小泉自民党の違いをアピールしています。その中には国家公務員の総人件費20%削減も謳われています。当然、民主党は公務員だけの代表ではありませんから公務員にとって手厳しい話も出てきます。

それでも自分の思ったとおりにならなかったから権力の象徴である解散権を行使し、同じ自民党の仲間だった者も切り捨てていく小泉首相の独裁的な手法の方が大きな問題です。要するに小泉自民党が勝利することは、多様な意見や権力への反対意見が今まで以上に言いづらくなる社会につながる心配があります。この一点だけを取っても、民主党に頑張ってもらいたいとエールを送っているところです。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

トップページ | 2005年9月 »