2015年2月22日 (日)

春闘期、地域給の問題が決着

前回の記事は「言葉の重さ、雑談放談」でした。その記事の最後のほうで「首相としての言葉の重さをもっとかみしめて欲しいものと願っています」と記していましたが、いみじくも2月19日の衆議院予算委員会で安倍首相の「日教組」ヤジが物議を醸しています。ヤジを浴びせられた民主党の玉木雄一郎衆院議員がご自身のブログ「一国の総理の発言の重み」で明らかにしているとおり誹謗中傷の類いとなる不規則発言であり、安倍首相を支持不支持の立場に関わらず問題視すべき言動だと考えています。

そのため、今回の主題から離れた内容ですが、冒頭で一言だけ触れさせていただきました。さらに玉木衆院議員のブログの最新記事「権力とメディア」の内容も、たいへんな問題をはらんだ事例が報告されています。かなり前に「卵が先か、鶏が先か?」という記事を投稿し、「マスコミが世論を作るのか、世論がマスコミの論調を決めるのか」という問題意識を掲げていました。最近は「権力がマスコミの論調を決め、世論を作る」というような構図も全否定できない雰囲気を感じつつあります。

一言だけと述べながら長々と続けてしまい恐縮です。このような問題意識に関しては、やはり機会を見て記事本文で掘り下げてみるつもりです。さて、春闘の季節を迎えています。以前の記事「春闘の話、インデックスⅡ」に示しているとおり私どもの組合では、この時期に様々な職場課題の交渉を重ねています。人事院制度の枠組みがある中、公務員組合は春闘を通して直接的なベア(ベースアップ)交渉はできません。4月からの新年度に向け、職員配置数や休暇制度などの見直し協議に対し、一定の結論を出すための労使交渉に集中しています。

最近の記事に「地域手当を巡る問題点」がありました。先週水曜日、職場委員会を開き、給与制度の総合的見直しに伴う地域手当問題の交渉結果を報告しました。給与制度の総合的見直しの課題が未解決の単組に対し、自治労都本部は2月6日に統一行動を提起していました。私どもの組合は現行の賃金水準が純減する恐れのある地域手当の課題解決に向け、2月4日と5日連夜にわたって集中的に交渉を重ねました。その結果、到達点と判断できる回答を引き出し、水曜日の職場委員会での報告に至っています。

昨年8月に示された人事院勧告では来年度から3年かけて全体の給与水準を2%引き下げ、その原資を再配分することで地域の民間水準を踏まえた見直しなどを求めています。その際、私どもの市の支給地域は3級地から4級地に下げられ、支給率12%が据え置かれる勧告内容でした。勧告通りに従えば基本給2%削減の痛みが直撃する局面となっていました。2月4日、市側から地域手当を12%に据え置いたまま、賃金水準を平均1.7%引き下げた東京都に準拠した賃金表に今年4月から移りたいという提案が示されました。

昨年11月の賃金確定交渉の中で「12%のままでは問題である」という認識を労使で一致させていました。それにも関わらず、12%据え置きという提案が示されたため、団体交渉の中で地域手当の支給率を巡って激しい論戦を交わすことになりました。昨年9月の決算特別委員会の中で市長は、私どもの市のほうが「誰がどう見ても大型都市であるし、行政需要もそれだけ多いだろう、物価もそれなりに高いだろう」と思っているのにも関わらず、そのような点が反映されない市町村ごとの算定基準の矛盾について訴えられていました。

人事院勧告が示された後、この問題で市長と直接話す機会を持った際も「おかしい」という疑問を強められていました。団体交渉や書記長と担当課長による事務折衝からも、今回、私どもの市も国基準を上回る地域手当の率を独自に判断せざるを得ない、そのような感触が伝わってきていました。その判断時期を探っているという事情が垣間見えながら、交渉を継続していた手応えがあったことも確かでした。しかし、同じような問題を抱えた市で新たに国基準を上回る動きがない中、独自判断に対するためらいを徐々に強め始めたように見ています。

もともと三多摩の中で8市町村が国基準を上回る地域手当の率を支給しています。ただ国基準を上回っている8市町村のうちの大半は、地域手当の前身にあたる調整手当の率を引き下げなかったという経緯のもとで独自な率となっていました。今回、私どもの市は国基準を超える地域手当の率の引き上げにあたります。そのため、来年度から国民健康保険料や保育料などの負担増を求める時機に「住民からの理解を得ることが難しい」という結論に達してしまったようです。最近、そのような市側の事情の変化を組合もつかんでいましたが、地域手当の率を引き上げる方向性での解決を求めていく方針のもと2月4日の交渉に臨んでいました。

昨年末の段階では引き上げを示唆する感触があったため、組合側は独自判断を見送る方針に至った市側の姿勢を厳しく追及しました。そもそも「住民からの理解を得ることが難しい」という理由に対しては、給与の総原資を増やす話ではないため、配分の問題であることを説明していけば決して「お手盛り」というような批判は受けないはずであると組合から訴えました。さらに同じ生活圏に暮らし、同じ職務にあたりながら率が大きく下回っていくことの問題を強調し、今後の人材確保の観点からも率の引き上げの必要性を訴えました。

地域手当の率で比べた際、今後、都の職員とは8%、近隣市とは4%又は3%の開きが生じます。市側は「現在、採用試験に千人を超える応募があり、地域手当の率に差が出ても極端に減らない」という見通しを示しています。それに対し、組合側が「極端に減らないかも知れないが、採用したい職員が都や他市を選んでしまうのではないか」という危惧を訴える交渉となっていました。市町村ごとの地場賃金調査のあり方などの問題意識を労使で一致させながらも、国基準を踏み出すことに市側は非常にかたくなであり、独自に判断することを拒み続けました。

本来、人材確保や職員の士気に対し、よりいっそう市側が留意し、独自な決断が求められていたはずです。残念ながら5日夜の段階で、地域手当の率は据え置かざるを得ない決着を受け入れる方向性を判断しました。地域手当を12%に据え置いたまま新賃金表に移る際の緩和策として、前日の交渉で当局から在職者に対する現給保障という考え方が示されていました。この提案は年限を区切った激変緩和策にとどまるため、将来にわたった賃金水準の低下につながり、生涯賃金の総支給額に大きな影響を及ぼすものとなります。

緩和策の協議に重点を絞った後も、組合は現行賃金水準の維持をめざし、粘り強く交渉を重ねました。その結果、2月6日深夜になって市側から新賃金表移行にあたっては同じ号給に移るのではなく、給料額の同額又は直近下位の号給に貼り付けるという回答を引き出しました。今年4月に新賃金表に移行し、当初の3か月間は直近下位の額になる人もいますが、7月に定期昇給があり、当初の当局提案よりも優位な決着となっています。賃金表の枠外に位置付く職員については現給保障を確認し、賃金水準の引き下げが最小限にとどめられたことから到達点と判断しました。

一方、再任用の賃金表は号給が単一であるため、上記のような緩和策をはかれませんでした。たいへん残念なことであり、今後、65歳までの雇用と生活の安定をいっそう拡充するための改善を求めていく決意を交渉報告とともに添えさせていただいています。組合は組合員の皆さんの生活を守る立場から全力で痛みを回避する決着をめざしました。100%満足のいく決着だったとは言えませんが、昨年11月から執行委員を務めている方の「交渉で結果が変わるんですね」という一言が印象に残っています。労使それぞれの立場や主張を真剣にぶつけ合って一つの結論を見出していく臨場感に感嘆した言葉だったようです。

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