2023年11月25日 (土)

時事の話題から政治に思うこと Part2

前回の記事は「時事の話題から政治に思うこと」でした。今週末に投稿する新規記事は、もう少し題材を絞った内容にすることを考えていました。ただ自分自身が気になり、情報の拡散として紹介したい時事の話題が目白押しだったため、結局「Part2」を付けた記事として今週も間口を広げた内容に取りかかっています。

まず石川県の馳知事が「事実誤認」として全面撤回した発言の問題です。自民党の東京五輪招致推進本部長を務めた馳知事は都内で開かれた会合で、招致活動時に安倍元総理から「必ず勝ち取れ。金はいくらでも出す。官房機密費もあるから」と告げられたという話を披露していました。

事実であればIOCの倫理規定に抵触する問題です。さらに官房機密費の不透明さなどを改めて浮き彫りにした発言だったと言えます。LITERAの最新記事『安倍首相が「官房機密費あるから、いくらでも出す」…馳浩の五輪招致買収工作発言で改めて注目される「官房機密費」の不正な使われ方』で、その問題性を詳述しています。

ジャーナリストの鮫島浩さんのブログ馳知事が東京五輪招致活動で安倍首相から「金はいくらでも出す。官房機密費もある」と告げられたとうっかり明かしたことで再び焦点に浮上した内閣官房機密費』や『青木理氏  馳浩氏の〝機密費発言〟に皮肉「内幕をバラしていただいて、ありがとうございます」』という記事にも目を留めていました。

前回記事でも取り上げた『阪神とオリックスのVパレード  大阪と神戸、公務員「動員」待遇に格差』に対しては、自治体職員の立場や労働組合の元役員という立場から引き続き注目していました。「部署内で希望者を募ったが目標人数に達せず、やむを得ず参加した」という大阪市の50代男性職員は、取材に「同じイベントなんだから兵庫県や神戸市と同じ待遇にしてほしかった」と答えています。

調べてみると2003年、星野監督率いる阪神がリーグ優勝した時も大阪府と大阪市の職員はボランティアで参加していました。今回と同様、休日出勤ということではなく、記念のジャンパーが配られただけだったようです。昨日夕方には吉村大阪府知事  Vパレードに公費投入でボランティア募集したくなかったけど…法的な裏事情を告白』という新たな舞台裏の情報が配信されています。

しかしながら現在の世間一般の見方は、兵庫県と神戸市の対応がまっとうであり、大阪府と大阪市の判断が問題であるというものです。それにも関わらずパレードに公務員を無償動員  吉村氏「ファンの顔見て批判できるか」』という報道のとおり吉村知事は不調だったクラウドファンディングも含め「反省すべきところは何もない」と言い切っています。

日本維新の会の馬場代表は阪神&オリ優勝パレードでの大阪府市職員「ただ働き」指摘に「拒否感がある方はお見えになっていない」』と語っています。自発的にボランティアでも大阪を盛り上げていくことに協力したいという本来公務員が持っている使命感に基づいて参加しているため、強制には当たらないという見方を示しています。

このような記事のヤフーのコメント欄では「ボランティアとは名ばかりで、実質的には半強制的な動員です。しかも無給で働かされ、代休を取ることも許されません。行政のトップの立場から職員に対し、やりがい搾取をしているのです」「ファンや選手のためならタダ働きをしろという発想が、どこから出てくるのか、ファンや選手だって、まさかそんなことは思っていまい」というような辛辣な声が数多く寄せられています。

維新の江東区議も選挙中に有料ネット広告』という問題で、報道陣の取材に馬場代表は「無料と有料との勘違いをしていたと聞いている。すぐに削除したということで、これは私はケアレスミスの範疇に入るのではないかなと思う」と語っています。法律に違反することを「知らなかった」や「勘違い」で許されるものなのか、野党第一党の座をうかがう政党のトップの発言として認識の甘さに驚いています。

内閣支持率や自民党の支持率が下降線をたどり、日本維新の会も失速しがちな中、前回記事でも触れたとおり立憲民主党の奮起に期待しています。連合や自治労と支持協力関係のある政党であることも理由の一つですが、 枝野前代表の問題意識」という記事に託しているような期待感を抱いています。

インボイス「反対署名」50万筆超!  立憲「廃止法案提出」も蒸し返される連合・芳野会長「着実に導入」発言』という見出しの記事をはじめ、立憲民主党と連合とのすれ違いぶりを強調した報道を目にする時が増えています。中には、あえて際立たせるような意図的な伝え方も散見しています。

上記の報道は今年9月25日に配信されたものですが、芳野会長の「着実に導入」という発言は昨年11月29日付の日本経済新聞のインタビュー記事の中のものです。インボイス制度について聞かれ「インボイス制度は消費税の制度的な不備を改善する観点で着実な導入が必要だ。導入の前提として免税事業者が取引から排除されたり、不当な値下げを要請されたりしないよう取り組みを強化する必要がある」と答えていました。

時間軸や前提条件の取り組みの可否などを踏まえれば、反対署名と芳野会長の立場がそれほど乖離しているようには思えません。消費税やインボイス制度そのものに反対している方々とは相容れなくなるのかも知れませんが、連合と立憲民主党との関係性で考えれば「溝ありき」の見出しだと感じていました。

PRESIDENT Onlineでは、ジャーナリストの尾中香尚里さんのなぜ自民党候補の落選が相次ぐのか…岸田首相の失政だけではない、立憲民主党の存在感が増しつつある理由』という見出しを付けた論評を目にしています。「存在感が増しつつある」という見方は意外でしたが、その記事の中で次のような記述もありました。

芳野氏は11月9日の泉氏との会談で、次期衆院選で共産党の支援を受ける候補は推薦しない方針を伝えた。しかし翌10日の記者会見で、立憲候補の演説に共産党関係者が応援に駆けつけることについて「現実問題として仕方ない」とも述べた。「他党の支援がなくても勝てるよう地力をつけてほしい」とも付け加えたものの、芳野氏の発言としてはかなり意外性のあるものとなった。

長い記事になっていますが、最近の野田元総理に絡む話題も紹介します。岸田首相に「国民の愛想が尽きた感」支持率低迷受け「総理として適材適所なのか」』の中の「人気取りばかりやって支持率を回復しようとするのはだめ。不人気なことでも国のために押し通すというところを見せれば上がってくる可能性はある」という言葉に共感しています。

最後に、中央公論12月号に掲載された野田元総理の『痛感した総理の重責、再び非自民で担う覚悟あり』という記事を紹介します。その記事の中で、国民からの期待に充分応えられず、結果的に再度の政権交代を遠ざける要因となった民主党政権時代の問題点について野田元総理は次のように語っています。

我々は、「自分たちが政権を取ったらこれをする」というマニフェスト(政権公約)作りに力を入れました。その取り組みが、金やしがらみなどではなく、政策で争う選挙の実現に貢献したのは確かだと思います。

しかし、いざ選挙に勝って政権の座に就いてみると、政権をきちんと維持していくためのマネジメントのところで、様々な問題に耐えうるだけの力量を欠いていたんですね。中でも意思決定の仕方、プロセスが曖昧だったのは問題でした。経験不足もあったのですが、政権交代可能な政党としては未熟な政権運営だったと、素直に認めざるを得ません。

未熟さの結果、起こったのが「政治主導」の履き違えという問題です。本来、政治がイニシアチブを取り、官僚を動かしながら協力していかなくてはいけないのに、ともすれば彼らを抑え込んで自分たちがやるんだ、というスタンスになってしまった。

「官僚にお任せ」の政治を何とかしたいという思いがあったとはいえ、結局両者の関係がギクシャクして、肝心の政策実現に支障をきたすような状況を招いたのは、大きな失敗でした。そこは、民主党政権の最大の反省点だと思っています。

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