2019年1月20日 (日)

レーダー照射事件から思うこと

年末の記事「2018年末、気ままに雑談放談」と年賀状バージョンの記事「2019年、しなやかに猪突猛進」、それぞれのコメント欄にKEYさんから「レーダー照射事件に関するOTSUさんの見解はお伺いしたいですね」という問いかけがありました。年末の記事のコメント欄でも取り急ぎ一言レスし、新年の記事でも次のようにお答えしていました。

韓国海軍のレーダー照射事件に関し、問題視すべき点があれば日本側が抗議することは当然です。韓国側に非があるのであれば率直に認め、謝罪すべきものと考えています。残念ながら事態は収束する見通しが立っていませんが、険悪な関係が早く修復されることを願っています。

なお、新規記事は職場課題について取り上げる予定です。言うまでもありませんが、レーダー照射事件に対して「沈黙を守る」意図など一切ありません。そのため、必要と判断すれば次回以降の記事本文を通して「何が問題なのか、どうすべきなのか」という自分なりの問題意識をまとめてみるつもりです。

前回の記事は職場課題を取り上げた「諸手当の見直し提案」というローカルな内容でした。厚労省の不適切統計の問題など注視すべき時事の話題は数多くありますが、今回の記事では韓国海軍のレーダー照射事件について取り上げてみます。どのような事件だったのか後ほど思い返すためにも、最初にMAG2NEWSに掲げられていた記事『韓国レーダー照射事件でわかった、日本を見くびる韓国の愚かさ』の中から事実経過の分かる箇所を転載させていただきます。

12月20日、日本の排他的経済水域内の公海上である石川県能登半島沖で、海上自衛隊のP-1哨戒機が韓国海軍の広開土王級駆逐艦によって火器管制レーダーを照射されるという事件が起こりました。いわば韓国海軍の駆逐艦によって、攻撃のためのロックオンされたということになります。

これは「攻撃動作」であり、どう考えても敵対行為で、反撃されても文句が言えないほどの行為です。実際、朝鮮日報は、「同じことを韓国軍が自衛隊からされたら、もっと深刻な対応を取るだろう」という韓国側の専門家の意見を載せていました。要するに、韓国軍なら同様のことをされたら即時攻撃するということです。

日本側は韓国の駆逐艦に意図を問い合わせましたが応答がなく、その後の日本政府の猛抗議に対して韓国側は、「レーダーを運用したが日本の哨戒機を追跡する目的で使用した事実はない」「遭難した北朝鮮の捜索のために火器管制レーダーを可動させたが、瞬間的に日本の哨戒機が入り込んできた」などと例によって言い訳をくるくると変えて弁明。韓国の軍関係者は海上自衛隊の哨戒機のほうが威嚇的だったとまで言う始末です。

上記の記事は台湾出身の評論家である黄文雄さんのメルマガからの抜粋です。黄さんは「日本の場合は専守防衛のため、ロックオンされただけでは攻撃できません。相手から撃たれてはじめて反撃できるのです。韓国軍も当然、そのことはわかっているはずです。だから日本側をナメてロックオンなどというふざけたことをしてくるのでしょう」と解説しています。その記事の最後には次のような問題意識が示されていました。

今後、日本の対韓国姿勢は大きく変更せざるをえないでしょう。日韓友好を叫びながら、日本批判や日本攻撃を繰り返す韓国は、何をやっても日本は怒らないと見くびっていることは明らかです。だから韓国では、日本は韓国の都合よく利用する対象であるという「用日論」が流行るわけです。このように韓国を増長させてしまったのは、日本側にも責任があります。

何度ゴールポストを動かされても、日本は忍耐強く韓国のワガママに付き合ってきました。そのことが、韓国を勘違いさせてしまったのです。すでに韓国の勘違いは、両国間の軍事的一触即発を招くほどまでエスカレートしてしまいました。ここで日本が断固たる姿勢を見せなければ、韓国の勘違いはいつまで経っても治らず、さらに最悪の事態を招くことになるでしょう。

今回の事件では身勝手な言い分を繰り出し、自らの非を認めず、日本への反発を強めている韓国に対して憤られている方々が多いのだろうと思っています。黄さんの問題意識と同様、これまでの日本の対応が甘すぎたとお考えの皆さんも多いはずです。さらに「韓国の愚かさ」「韓国の勘違い」という言葉に首肯し、徹底的に韓国を叩くことが不可欠だと考えている方も多いのかも知れません。

曖昧な決着を避け、客観的なデータを公表することで韓国側の非を明らかにすることで、これまでとは異なる未来志向の日韓関係につながるのであれば何よりなことです。したがって、今回の日本政府の対応は望ましい判断であり、下記報道にあるような事実関係であれば安倍首相ならではのリーダーシップを発揮した結果であることを肯定的にとらえられます。

韓国駆逐艦による海上自衛隊哨戒機への火器管制レーダー照射問題をめぐり日韓の主張がぶつかる中、防衛省が「証拠」として当時の映像の公開に踏み切った。同省は防衛当局間の関係を一層冷え込ませると慎重だったが、韓国にいら立ちを募らせる安倍晋三首相がトップダウンで押し切った。日本の正当性を世論に訴える狙いだが、泥沼化する恐れもある。

防衛省は当初、映像公開について「韓国がさらに反発するだけだ」(幹部)との見方が強く、岩屋毅防衛相も否定的だった。複数の政府関係者によると、方針転換は27日、首相の「鶴の一声」で急きょ決まった。韓国政府は11月、日韓合意に基づく元慰安婦支援財団の解散を決定。元徴用工訴訟をめぐり日本企業への賠償判決も相次ぎ、首相は「韓国に対し相当頭にきていた」(自民党関係者)という。そこに加わったのが危険な火器管制レーダーの照射。海自機への照射を否定する韓国の姿勢に、首相の不満が爆発したもようだ。

首相の強硬姿勢は、2010年9月に沖縄県・尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件で対応のまずさを露呈した旧民主党政権の教訓も背景にある。当時、海上保安庁が撮影した映像を菅内閣は公開せず、海上保安官がインターネット動画サイトに投稿して騒ぎが拡大。首相は13年12月の党首討論で「出すべきビデオを出さなかった」と批判した。政府関係者は今回の首相の胸の内を「後で映像が流出するのも嫌だから『出せ』と言っているのだろう」と解説した。【JIJI.COM 2018年12月28日

事件発覚後、日韓防衛当局間での実務協議を通し、再発防止策やトラブルの原因究明について何らかの結論が出る可能性も残されていたようです。それにも関わらず、安倍首相の指示で映像の公開に踏み切ったため、お互いの対立感情が煽られ、時事通信の記事の中で懸念されていた「泥沼化する恐れ」が現実化した模様です。

日本側が過剰に譲歩した「玉虫色の決着」は望ましくないため、「安倍首相の判断は誤りだった」と決め付けた批判は避けなければなりません。私自身の思いは前述したとおり「問題視すべき点があれば日本側が抗議することは当然です。韓国側に非があるのであれば率直に認め、謝罪すべきものと考えています」という当たり前なものであり、事実関係に対して謙虚な姿勢で向き合い、お互いが信頼関係を高めていく努力を尽くすべきものと考えています。

一方で「過剰に譲歩」とは次元の異なる話として、相手側の言い分や置かれた立場にも思いを巡らせながら最適な解決策を探るという姿勢も欠かせないものと考えています。そのためには相手側を「愚かでワガママだ」と見下すような認識は拭う必要があります。韓国との関係は絶っても構わないという極端な声も耳にしますが、良好な関係を築きたいという目的を重視するのであれば、このような姿勢が求められていくものと思っています。

今回のレーダー照射事件に際し、安倍首相の判断を強く支持される方々が多いことは前述したとおりです。安倍首相と同じような価値観をお持ちの方が多いからこそ、安倍政権の支持率は極端に低下せずに推移している一因であるはずです。このようなコアな支持者の思いを背にしているため、安倍首相ならではの政治的な判断を積み重ねていけるのだろうと見ています。

韓国に対しては強く出るべき、このようなコアな支持者の声があり、防衛省の意向とは異なる対応をはかったことになります。逆に前例にならい、穏便な決着をはかった場合、安倍首相はコアな支持者からの反発を招いていたのかも知れません。いずれにしても政治家が支持者の声を受けとめ、支持率を意識することは当たり前な話だと思っています。

5年前の記事「政治改革の熱狂と崩壊」の中で、「当時、7千万人の日本人が戦争に熱狂する中、冷静に日本の行く末を案じた人物」について記していました。このことは日本中が熱狂する中、政治家が対米戦争を回避する判断を下すことは難しい時代だったという話につながっていました。幸いにも現在、安倍首相や政府の判断を表立って批判できる社会であることも確かです。

世論が単色の意見に染まってしまい、政治的な判断を下す際の選択肢の幅が狭まるようでは国民にとって望ましいことではありません。このような関係性に思いを巡らした時、韓国側の選択肢は極めて狭まってしまっているようです。日本側がレーダー照射事件に関する事実関係を粛々と示していったとしても、韓国側が率直に非を認め、謝罪できるような環境から遠ざかっています。

韓国の世論調査で8割以上の国民が、この問題で日本に対する反発を強めているようです。韓国の国内では客観的な事実関係が適確に伝わっていないためなのかも知れませんが、反日感情が高まった非常に残念な現況だと言わざるを得ません。安全保障面や経済的な関係を考慮した際、韓国とは友好的な関係を維持したいものと考えています。そのことを最優先の目的とした場合、もう少し相手側の言い分や立場を尊重した対応もあり得たのかも知れません。

昨年9月の記事「自民党総裁選と改憲の動き」の中では「安倍首相がプーチン大統領の性格を気遣いながら低姿勢で接していることを責める気持ちは一切ありません。首脳同士の良好な関係が私たち国民にとって最良の結果を引き出していただけることを期待しながら、私自身は安倍首相の今回の沈黙も含めてロシアとの関係性を評価しています」と綴っていました。

北方領土交渉は大きな山場を迎えつつあります。ここ最近、本来であれば日本側が即座に批判や訂正を求めなければならないような発言がロシア側から発せられています。ロシア側は自国内の世論を踏まえた戦略的な発言であり、日本側の沈黙に近い対応は大きな目的を達成させるために欠かせない振る舞い方なのかも知れません。そうであれば納得できる対応であり、日刊ゲンダイの記事『前のめり安倍首相に露が食わす「条文作成」の毒まんじゅう』のような結果に至らないことを願っています。

このような事情を理解しながらも、ロシアとの関係に比べて韓国に対する安倍政権の接し方は極端に厳しい気がしています。この話を組合員と雑談した時、「韓国を叩いても反撃されることや損することはないから言いたいことを言えるんじゃないのですか」と答えが返ってきました。あまりに率直な答えが返り、「なるほど」と思わざるを得ませんでした。安倍首相がそのような発想で対応しているのかどうか分かりませんが、お互いが相手を見下し、見くび合っていては関係修復も険しい道のりだろうと思っています。

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