2016年9月25日 (日)

民進党代表選と豊洲移転問題 Part2

前回記事「民進党代表選と豊洲移転問題」の冒頭、「特に関連性が見当たらない題材を単に時事の話題だからと言って並べた訳ではありません。私なりの見方や感想として語るべき同じような論点が頭に思い浮かび、そのようなタイトルに至っています」と記しながら、前回の記事では豊洲移転に関わる話までたどり着けませんでした。今回、改めて豊洲移転の問題を取り上げた上、「同じような論点」に繋げてみます。

さて、築地市場から豊洲への移転の問題では様々な疑問が浮上しています。徹底した調査のもと「なぜ、全面盛り土の計画の一部が地下空間に変わったのか」「どうして地下空間を設けたことが対外的に明らかにされなかったのか」「歴代の知事や市場長は本当に把握していなかったのか」「地下空間の水は地下水なのか、雨水なのか、安全性はどうなのか」などの謎が解明されることを期待しています。

この豊洲移転の問題は日を追うごとに新たな「事実」が報道されていました。あえて「事実」と括弧書きしましたが、真実や真相という言葉からは程遠い断片的な情報の一部にとどまる内容という印象を受けていたからでした。「事実」は一つなのでしょうが、それぞれ知り得た「事実」をもとに関係者や部外者がそれぞれの経験や見識から様々な見方を示していました。

豊洲市場(東京都江東区)の盛り土がない問題に関連し、石原慎太郎・元東京都知事は17日、在任中の2008年に定例会見で建物の地下利用案に言及したことについて、「(外部の)専門家からこういう話があるから考えた方がいいと(当時の都中央卸売市場長の)比留間英人氏に言った」と述べた。

「市場長から聞いた」としていた自身の説明を訂正した。石原慎太郎氏「職員の報告」、元市場長は「知事の指示」 石原氏は同日、「元秘書が詳細を覚えていた」として報道陣に説明し直した。石原氏の案は採用されておらず、建物の地下に空洞がある現在の設計になったことについては「一切報告をうけていない」とした。【朝日新聞2016年9月17日

当初、当事者としての責任を最も問われるべき立場だった石原元知事は「これは僕、騙されたんですね」「東京都は伏魔殿だ」などと言いたい放題で、すべて責任を部下に転嫁していました。その後、石原元知事が費用の膨らむことを懸念し、コンクリート箱を地下に埋める工法の検討を自ら部下に指示していたことなどが明らかになっています。

そのため、石原元知事としては珍しく謝罪文書を各メディアに送り、「間もなく84歳になる年齢の影響もあって、たとえ重大な事柄であっても記憶が薄れたり、勘違いをしたりすることも」と釈明していました。この謝罪文書が示されたのは当ブログの前回記事を投稿した後のことですが、先週末の時点で石原元知事の記憶違いだった話は把握していました。

この話を耳にしていたため、蓮舫新代表の二重国籍問題を巡る発言を取り上げた際に「ただ人間の記憶は当てになりません」という記述を付け加えていました。その後、前回記事では「わずか1%でも事実関係に自信を持てない場合、断定調に言い切らないほうが望ましい場面も数多くあります。後から事実関係の違いが判明し、その時の言葉は偽りだったと批判されるほうが遥かに大きな痛手となります」と続けていました。

今後、豊洲移転の問題で石原元知事がどれだけの痛手を受けるのか分かりませんが、蓮舫新代表の発言のブレも記憶違いが起因していたようであり、「同じような論点」が重なり合っていました。もちろん問題の大きさや当事者の数が異なるため、単純に同一視しながら語ろうとは考えていません。端的に表現した場合、次のような問題意識を「同じような論点」だととらえています。

「事実」は一つです。ただ当事者の記憶違いや勘違いによって「事実」の内容が変わる場合もあります。その場合、他者から受ける評価や批判は正当なものになりません。批判を避けるため、「事実」を偽ったり、隠したりする悪質な行為は論外です。リスクマネジメントの基本として、すみやかに正確な「事実」を示した上、正当な評価や批判を甘受することが結果的にダメージコントロールの近道に繋がるように考えています。

そのような迅速さや情報公開が不充分だった場合、外部から様々な憶測や思い込みによる批判が飛び交い、さらに尾ヒレが付きがちとなります。中には擁護する声も示されるのかも知れませんが、正確な「事実」が判明した際、勇み足となる恐れも免れません。豊洲移転の問題では小池知事の判断を支持する声が多いようですが、ブロガーの山本一郎さんは「小池百合子女史は都職員の話を全く聞いておらず、理解もしてないんじゃないか?」と疑問を呈していました。

橋下徹前大阪市長は「築地問題がカラ騒ぎになる可能性をあえて指摘します!」と提起し、「地下ピットを作るのは当然」というような豊洲移転の問題に絡んだ発言を精力的にツイートしています。このような主張に接すると地下空間が広がった理由も一定理解できます。しかし、これまでの豊洲市場に対する情報公開の不適切さ、ハンコを押しながら「盛り土がされていないことは知らなかった」という元市場長が証言しているような組織としての意思決定の問題など解明すべき事項は山積しています。

もしかしたらテレビカメラの前で証言した元市場長も記憶違いしている可能性があります。いずれにしても正確な「事実」のもとに全容が解明され、責任の所在を明らかにした上、今後に向けた適切な対策が講じられていかなければなりません。全容が解明された結果、誰の主張や見方が正しかったのかどうかも分かることになります。そして、やはり安全性に疑念が残る場合、「移転ありき」ではない判断も欠かせないものと考えています。

最後に、豊洲移転の記事が気になり、『週刊文春』の最新号を購入しました。その記事内容も独自な取材によるスクープだと言えますが、もともと感じていた印象が大きく変わることはなく、ある意味で想定の範囲内での「事実」関係でした。それよりも不起訴となった若手俳優による「強姦」事件の記事内容のほうが目を引きました。この「事実」関係を把握することで事件に対する印象は随分変わってしまいます。記事内容を鵜呑みにしないよう注意しなければなりませんが、知り得た「事実」の違いによって評価が変動することの一つの事例として追記させていただきました。

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