2024年2月24日 (土)

多面的な情報によって変わる評価

ロシアがウクライナに軍事侵攻し、2年が過ぎようとしてしています。悲しむべきことに未だ戦火の消える兆しは見出せません。帝国主義の時代に逆戻りさせないためには何としても国際社会が足並みを揃え、ロシアの暴挙を悔い改めさせる必要があります。

ロシア国内でもウクライナとの戦争を疑問視し、真っ向からプーチン大統領を批判する人たちもいます。その一人が反体制派の指導者であるナワリヌイ氏でしたが、投獄されていた北極圏にある刑務所で謎の死に至っています。

ナワリヌイ氏を追悼する集会自体が厳しく規制されるようなロシア国内の現状を見聞きすると、そのような社会にしてはいけないという思いを強めざるを得ません。今の日本、誰もが政権与党に対し、厳しい言葉をぶつけることができます。政府を批判する集会やデモに参加しても、そのことのみで拘束されることはありません。

ロシアのような強権的な国家に比べれば、日本のほうが「よりまし」であることは間違いありません。しかし、その日本も歴史を遡れば戦争を遂行するために全体主義の国家として、言論の自由などが制約され、反体制派と見なされた人たちが獄死してきた時代もありました。

明治憲法のもとでも大正デモクラシーと呼ばれた民主主義の盛り上がった時代がありながら、徐々に社会の空気が変わっていきました。だからこそ二度と言論や集会の自由を奪われるような社会にさせないため、アンテナを高めていくという意識が大切なのだろうと思っています。

プーチンは自分たちが「世界を救う存在」だと信じている』という論評のとおりプーチン大統領自身の身勝手な「正義」があります。身勝手な「正義」でも国内で巧妙にプロパガンダすることで、一定数の国民はプーチン大統領を本心から支持しているはずです。そのような意味合いから報道の自由の重要さも問われています。

一方で、ナワリヌイ氏たちのように声は上げられないけれども、プーチン政権に対して批判的な立場の人たちも決して少数ではないはずです。ナワリヌイ氏は生前、ドキュメンタリー映画で「もし殺されたら」と問われ、「あきらめないで」と支持者に向けた「遺言」を残していました。この言葉の重さが今のロシア社会の中で、はかり知れないものとなっています。

このブログでは多面的な情報の大切さを訴え続けています。同じモノを見ていても、見る角度や位置によって得られる内容が極端に違ってきます。一つの角度から得られた情報から判断すれば明らかにクロとされたケースも、異なる角度から得られる情報を加味した時、クロとは言い切れなくなる場合も少なくありません。

クロかシロか、真実は一つなのでしょうが、シロをクロと見誤らないためには多面的な情報をもとに判断していくことが非常に重要です。前回記事は「もう少し自民党の裏金問題」でしたが、この問題こそ多面的な情報が広く認知されたことで自民党は猛烈な逆風に見舞われる事態に追い込まれています。

自民党の中で特に安倍派のキックバックの問題は20年ぐらい前から続いていた違法行為です。今回のように注目されない限り、今後も続いていた問題だったのではないでしょうか。自民党が急に何か不祥事を起こした訳ではなく、問題点が可視化され、ネガティブな情報が広く知れわたったことで厳しい批判を浴びています。

つまり不都合な情報が表に出てこなければ、このような窮地とは無縁だったと言えます。多面的な情報によって評価が変わってしまう事例を数多く思い浮かべられますが、ジャニーズ事務所の問題が象徴的です。ジャニー喜多川氏による性加害問題が大きく取り沙汰されなければ、ジャニーズ事務所の権勢は揺るぎないものとして芸能界を中心に影響力を発揮し続けていたはずです。

インターネットを検索すれば幅広い情報を得られます。それでも社会全体の認知度を左右するのは、やはり大手の新聞やテレビ局の取り上げ方しだいだろうと思っています。かなり前の記事「卵が先か、鶏が先か?」の中で、「マスコミが世論を作るのか、世論がマスコミの論調を決めるのか」という問題意識を綴っていました。

自民党の組織的な土壌や体質は今も昔も変わっていないはずですが、安倍政権時代の支持率が極端に落ち込むことはありませんでした。「桜を見る会」前日の夕食会を巡る疑惑で、安倍元総理の秘書が略式起訴されています。安倍元総理自身は「不正を知らなかった」と答え続け、結局、政権への影響は最小限にとどまっていました。

今の自民党の裏金問題と似通った構図でしたが、世論やマスコミの論調の潮目が変わることはありませんでした。以前「『官邸ポリス』を読み終えて」という記事を投稿していましたが、官邸側がマスコミの情報をコントロールしていたという見立ては信憑性の高い話だったように思っています。

安倍政権時代、それほど支持率が下がらなかった理由の一つとして、政権交代に対する失望感があったことも見過ごせません。『「支持政党なし」最多の52%ナゼ? 小渕優子議員「野党転落を思い出す」……自民支持率“最低”の24% 野党は受け皿になれず』という報道のような現状の悩ましさがあります。

2年以内に行なわれる総選挙では投票率だけ極端に下がり、自民党が「それほど負けなかった」という可能性は充分あり得ます。それはそれで民意の表われなのかも知れませんが、国民から信頼を失った場合、政権の座から下りることになる、そのような緊張感のある政治であって欲しいものと願っています。

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