2021年6月13日 (日)

『政商 内閣裏官房』を読み終えて

ステイホームが続く中、読み終えた書籍の数が増えていきます。最近では安達瑶さんの『内閣裏官房』、その続編『政商 内閣裏官房』を一気に読み終えていました。実在する政治家らの顔がすぐ思い浮かび、もし事実に近い話をヒントに小説に仕立てていた場合、たいへんスキャンダラスな「闇」を告発していることになります。

日本を壊したやつは誰だ!?  政官財の中枢が集う“迎賓館”の怪。裏官房は依然暗躍し、相次ぐ自死事件を追う! 新政権が発足し官房副長官の首がすげ替えられても、政府にとって使い勝手の良い裏組織“内閣裏官房”は存続していた。

彼らは新副長官の命令一下、ある民間施設で発生した怪死を穏便に“処理”すべく急行する。現場は新政権とも繋がりの深い企業が要人を接待するために設けた“迎賓館”だった!  自衛隊出身の武闘派女子上白河レイらが権力者の悪を糾す、痛快シリーズ第二弾!

上記はリンク先のサイトに掲げられた『政商 内閣裏官房』の紹介文です。あくまでもフィクションという前提で読まなければならないはずですが、周知の事実関係も背景として描かれているため、読み手側の想像力は膨らませられていきます。

登場人物から連想される関係者は激怒するのか、震撼するのか、いずれにしても黙殺したいだろうと思われる内容が随所に目立っていました。安達さんは男性と女性との合作作家ですが、政治的な立場を鮮明にした言葉を登場人物の会話の中に盛り込んでいます。

例えば「新しい総理は今度の政権を、国民に利益誘導をしてそれを支持基盤にする、古き良き遣り方に戻そうとしている。前政権に特徴的だった、愛国だ、反日だ、改憲だ!とやたら憎しみを煽る手法ではなくてね」と語らせています。

他に「前回の国政選挙で、前首相が無理やり押し込んだ候補が当選した事案があっただろう?党本部から、通常の十倍にもなる選挙資金が流れたという、あの件だ。そいつらに渡った金額を全部足しても、党本部から流れた金の三分の一にしかならないんだ。一億近いカネがどこかに消えているんだよ。そのカネが、それも前総理に近い大物政治家に還流したのではないか」という疑惑も描かれています。

登場人物の言葉がそのまま作者の考えとは限らないのかも知れませんが、現政権と対比しながら前政権を批判している箇所が目に付きました。「文書を改竄させられるような、そういう政権は願い下げですね」「室長は、新政権に持ち堪えてほしいと願っているのだ」という登場人物のセリフなどから前総理と現総理の顔を思い浮かべています。

続編には立山大祐という人物が登場します。かつて立山は金融担当大臣として不良債権処理を推し進め、「対象となった企業の三分の二は外資に食われ、残り三分の一は立山に協力的だった企業に、二束三文で買われてしまった」と書かれています。現在は大手人材派遣会社キャリウェルの会長を務め、アメリカの利益を代弁する人物として描かれていました。

自由で公平な競争を日本の社会にもたらした、と立山は豪語しているが、自分が無理やり押し付けたルールの下、立山本人がキャリウェルを立ち上げて人材派遣業で大儲けしているのだから、まさに語るに落ちる、という話だ。上品に言えば利益相反、ぶっちゃけ、出来レースでしかないだろう。

上記は登場人物の一人が立山について説明する言葉です。書籍のタイトル名の政商は立山を指し、前述したとおり実在する人物や企業名が容易に思い浮かべられます。殺人事件を絡めた物語ですので荒唐無稽な話として受けとめ、具体的な人物や企業と重ね合わせていくと誹謗中傷や名誉毀損の問題にもつながりかねません。そのため、このような書籍を読み終えたという「雑談放談」に過ぎない内容としてご理解願います。

ここまでは小説の中に記されていた内容の紹介であり、事実関係とフィクションとの線引きには慎重にならなければなりません。続いて、事実関係をもとにしたメディアの記事内容を紹介していきます。まず『パソナ1000%の衝撃!コロナと五輪でボロ儲けのカラクリ』という見出しの記事内容です。

コロナ禍に前年比1000%増――。パソナグループの最終利益が波紋を広げている。今年5月期の通期連結業績予想を上方修正。純利益は62億円と、前年の5億9400万円から実に942.3%アップ、約10倍増となる見込みだ。

大幅に利益を伸ばした事業は、官公庁や企業から業務プロセスの全てを請け負う「BPOサービス」。この中には政府から巨額で請け負ったコロナ対策関連事業も含まれるとみられる。

例えば昨年の「持続化給付金」事業だ。パソナが設立時から電通などと共に関与した一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」が、まず769億円で受託。749億円で再委託された電通が子会社5社に流し、さらにパソナやトランスコスモスなどに計417億円で外注――と、血税“中抜き”は猛批判を浴びたが、とりわけパソナの受注費は約170億円と際立って多かった。

五輪関連事業でも「特権」を与えられている。大会組織委員会と「オフィシャルサポーター」契約を締結。先月26日の衆院文科委員会で「人材派遣サービスはパソナしか許されていない。43(の競技)会場の派遣スタッフを頼むときはパソナに(仕事を)出さなくてはいけない契約になっている」(立憲民主党・斉木武志議員)と、事実上の独占状態なのだ。

コロナで中抜き、五輪ではピンハネ? 究極の買い手市場だからか、国会審議では“ピンハネ”疑惑も浮上。パソナの五輪有償スタッフの募集要項によると、時給は1650円(深夜時間帯は125%の割増賃金)、日給にすれば約1万2000円程度だ。ところが、組織委と委託先の広告代理店との契約書や内訳書には人件費の1日単価は35万円、管理費・経費を含めると日当45万円と出てくるという。

ピンハネ率は97%。代理店からの独占委託で利益が転がり込めば、儲かるのも納得だ。コロナ不況で早期・希望退職を募る企業も増加。再就職支援事業も「好調」というから、まさに「人の不幸は蜜の味」だ。

「会長の竹中平蔵氏は菅首相のブレーン。今も国家戦略特区諮問会議や産業競争力会議の有識者メンバーです。公的機関の仕事に食い込めるのは“政権の友”への優遇ではないのか。違うならハッキリと説明すべきです。政府分科会の尾身会長の『五輪開催は普通はない』発言に竹中氏は6日、『越権行為』『ひどい』と関西ローカル番組でカミついていましたが、開催中止で利益を失いたくないようにしか聞こえません」(経済評論家・斎藤満氏) 日本にも“ぼったくり男爵”は存在する。【日刊ゲンダイ2021年6月7日

勇み足な表現もあるのかも知れませんが、基本的に事実関係を伝えた記事内容であるはずです。日刊ゲンダイの政治的な立場性や辛辣な言葉使いに嫌悪感を持たれる方々も多いようですが、このブログが多面的な情報を提供していく一つの場になり得ることを望んでいる関係性についてご理解くださるようお願いします。

次に『五輪支持の竹中平蔵パソナ会長「スペイン風邪でもやった」発言に自民党が大迷惑「援護射撃になっていない」』という見出しの記事内容を紹介します。やはり政権との距離感を明確にしたメディアの報道ですが、1920年のアントワープオリンピックはスペイン風邪というパンデミックの中でも開催されたという説明の不適切さなどが理解できる内容となっています。

東京五輪開催を支持する慶応大学名誉教授でパソナ会長の竹中平蔵氏が9日、自身のYouTubeチャンネルを更新。「竹中平蔵【東京五輪】開催すべき理由を徹底解説」というタイトルで語った。竹中氏は動画の冒頭で、「私はオリンピック・パラリンピックを是非きちっと開催してほしい」と主張。

1つ目の理由として、「オリンピック・パラリンピックは国内イベントではないということです。世界のイベントなんです。従って本来ならば日本の国内事情でこの世界的なイベントを止めるというのは、やはりこれはあってはいけないことだと思います。日本としては国際的な責任を果たすために国内事情をしっかりとコントロールしながら実行に移す責任がある。それが実は日本で開催されるオリンピック・パラリンピックの本質的な問題だという風に思うんです」と語った。

そして、2つめの理由として、新型コロナウイルスの流行が五輪を中止する根拠になりえないことを主張した。竹中氏は過去にオリンピック・パラリンピックを中止した事例として第一次世界大戦、第二次世界大戦の時を引用。「世界大戦の時はさすがに世界が真っ二つに割れているわけですから。これは国内事情ではなくて世界の事情でできないから止めているわけです」と五輪の開催中止が正当であることを強調した。

そして、今回の東京五輪の状況に類似した1920年のアントワープオリンピックを取り上げ、「1918年から数年間、世界はスペイン風邪というパンデミックに襲われました。しかしこのパンデミックの中でベルギーのアントワープでの五輪はきちっとやられました。パンデミックだからやめたということではなかったわけです」と説明した。

3つ目の理由がワクチンだ。「この数か月の間にコロナ問題に対する世界の認識は大幅に変わったということです。日本では依然として人流を抑えるためにどうこうという話をしていますけど私の認識ではイギリスやアメリカでは、もうそんな議論はしておりません」とワクチンの接種率が高い諸外国はコロナの感染が収束していることを説明。「今やるべきことはワクチンを普及させること、そして国際的責任を果たすために日本は今このオリンピック・パラリンピックを万全の対策を講じながらきっちりとやり抜くこと」と持論を展開した。

竹中氏は6日に読売テレビで放送された「そこまで言って委員会NP」に生出演した際、「世界のイベントをたまたま日本でやることになっているわけで、日本の国内事情で世界に『イベント(五輪)やめます』というのはあってはいけないと思いますよ。世界に対して、『やる』と言った限りはやる責任がある」と主張。落語家の立川志らくが「世論の6、7割が(五輪は)中止だと言っている。世論が間違っているってこと?」と質問すると、「世論は間違ってますよ。世論はしょっちゅう間違ってますから」とコメントして波紋を呼んだ。

今回の動画の内容についても、コメント欄では「コロナの感染は世界の問題であって、日本の国内事情ではありません。オリンピックを開催する責任??国外からの流入はもちろんですが、日本から世界に拡散させる可能性についてはどうなんでしょうか?日本株なんて世界に言われたらどう責任とるんでしょう?」

「ヨーロッパでのスペイン風邪感染は1920年には収束しつつある状況にあったので開催される要因の1つになったと思われます。参加国29カ国を見ても、欧米が3分の2近くを占めています。つまりスペイン風邪はほとんど影響がなかったと思います。東京オリンピックの参加予定の国・地域は200カ国。はっきり言わせていただきまして比較にならない。その200カ国の中には、感染が収まらない国・地域が多いのが現状」など竹中氏の主張に異を唱える意見が目立つ。

自民党の関係者は渋い表情を浮かべる。「竹中さんは先日の『世論は間違っている』発言で、国民にケンカを売ったように映ってしまった。今回の五輪支持の訴えも、火に油を注ぐ形になっている。参加者、参加国の規模が全く違う100年前の五輪でスペイン風邪の時に開催したことを持ち出すのは無理があるし、五輪開催に突き進む政府の援護射撃になっていません。竹中さんが会長を務めるパソナが五輪スポンサー企業であることも、政府と距離が近いという印象を与えて心証が悪い。五輪の開催を望むなら『おとなしくしてくれ』というのが政府の本音だと思います」

五輪開催まで1カ月半を切った。国民は大きな不安を抱えている。政府には丁寧な説明責任が求められる。AERA dot.2021年6月10日

『政商 内閣裏官房』を読み進めている最中に上記の報道を目にしていきました。この巡り合わせを新規記事の冒頭で少しだけ触れるつもりが、書き進めるうちに途中で「記事タイトル」を差し替えた上、パソナの竹中会長に焦点を当てた記事内容に変えていました。

このブログでは以前「李下に冠を正さず」という記事を投稿しています。私たち公務員は利益相反と見られないような振る舞いが日常的に厳しく求められています。あまりにもスケールが大き過ぎると見えづらくなってしまうのかも知れませんが、東京五輪の開催は竹中会長の利益に直結する関係性です。

上記の報道で「五輪の開催を望むなら『おとなしくしてくれ』というのが政府の本音」と伝えているとおり竹中会長の発言の数々は東京五輪の開催に向けてマイナスだったと言えます。実は前回記事「もう少し新型コロナについて」の続きとして東京五輪の開催の是非について私自身の考えを書き足すつもりでしたが、たいへん長い記事になっていますので次回以降に先送りしています。

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